誰もが一度は聞いたことがあるであろう「膀胱炎」。
膀胱炎にもいくつか種類がありますが、今回は最も一般的な”急性単純性膀胱炎”についてお話します。
膀胱炎は誰にでも起こりうる病気ですが、膀胱炎のみでは熱は出ず、治療の基本は積極的な飲水・抗菌薬の内服です。では、どんな検査が必要で、どんな時に受診したら良いのか、詳しくお話ししていきます。
- 膀胱炎ってどんな病気?どんな人がかかるの?
膀胱とは尿を溜めておく臓器で、そこに何らかの原因で炎症が起きている状態を指します。
日本人女性の2人に1人が生涯に一度は罹患する と言われています。男性よりも女性の方が尿道が短く、尿の出口(外尿道口)と膣・肛門の距離が近いため、細菌が膀胱に侵入しやすく、女性の方が罹りやすい病気です。身体の構造上男性の膀胱炎は比較的稀で、排尿のしにくさなど、もともと膀胱に何か病気をもっている人が罹ります。
女性の中でも、性的活動の活発な若年層と、免疫力の落ちた高齢女性に多い傾向があります。若年層では、性行為後や月経に際し、膀胱内に細菌が侵入しやすいためです。
2. 膀胱炎の症状は?
頻尿、排尿時の痛み、残尿感(トイレに行ったのにまだ残っている感じがする)が代表的です。
炎症が強い場合には、血尿を自覚することがあります。
先述したように膀胱炎だけでは熱は出ないため、熱が出ている場合は腎臓にも炎症が及んでいる可能性があります。
3. 原因となる菌は?
最も多い原因菌は、通常体内にいる大腸菌です。その他にも様々な細菌・真菌が膀胱炎の原因となりますが、近年では抗生剤が効かない細菌、いわゆる耐性菌が問題となっています。
4. 必要な検査は?
泌尿器科に行くと陰部を診られるのでは…と不安に思う方がいるかもしれませんが、膀胱炎に関しては尿検査で診断が可能です。尿中に炎症があることを示す白血球や細菌が認められ、膀胱炎に矛盾しない症状があれば、まずは膀胱炎として治療をしていきます。
5. どんな治療をするの?
膀胱炎の治療の基本は、抗生剤の内服です。先述したように、抗生剤が効かない耐性菌が原因となることもあり、治療前に原因菌をつきとめる尿の培養検査が重要となります。
膀胱炎は再発を繰り返す方が非常に多いです。日常生活で気をつけていただきたいポイントは以下の通りです。
- 水分をしっかりと摂る
- トイレを我慢しない
- トイレの後は前から後に拭く(女性の場合)
- 性交後は排尿しシャワーを浴びるなど清潔にする
- ウォシュレットを使わない(特に公共施設のもの)
良かれと思ってウォシュレットを使う方がいますが、実は膀胱炎を起こす要因になってしまうことがあるため、特に自宅以外の使用には十分気をつけましょう。
また血尿も認める場合、抗生剤治療で尿検査で白血球や細菌がいなくなったにも関わらず、血尿だけが出続けることがあります。この場合には膀胱の悪性腫瘍が隠れているケースもあるため、追加で検査や治療が必要となる可能性があります。
どんな時に受診したらいいのか迷う方がおられますが、炎症がひどくなると腎臓まで波及し『腎盂腎炎』となってしまうこともあります。我慢しすぎず症状がつらいようだったら是非泌尿器科に相談してください。

コメント